大塔大菩提寺 カティナプジャ

 カティナプジャ(Katina puja) は、約3か月間の雨安居明けに行われ、信者が比丘たちに法衣を布施し、徳を積む法要です。原始仏典の伝えるところでは、雨安居明けに比丘たちが自身の衣を作り…とあり、お釈迦様もご自身でそうされたとあります。ほぼ全員が衣を調え終ると集まって布薩会(ふさつえ=各々の内外で犯した比丘としてあるまじき罪を告白・懺悔する集会)を行って出家者としての再出発を誓うという習慣でした。仏伝に「衣を調える1ヶ月・2ヶ月…5ヶ月」とありますが、その期間を短縮し、早く法を説いて欲しい信徒や施主が衣を献上するようになりました。この一連のプロセスが「迦絺那会(かちなえ)」として中国や日本に伝わりました。ブッダガヤのカティナプジャはこの方式で行われています。

 この雨安居とは、Vassaとよばれる雨季の間、降雨によって芽吹いた草や土から出てきた虫などを踏み殺生しないように、比丘たちが遊行せずに一か所に留まり外出を控え修行に専念することで、お釈迦様在世からの習慣です。インドでは、ヒンドゥー暦のAsalha 月の満月の次の日から約3か月(3度目の満月の翌日)がVassaとされ、2021年は7月25日から10月21日まででした。

 今年は10月31日に大塔管理委員会主催の施主公募によるカティナプジャが大菩提寺内で開催されました。当日はタイ、カンボジア、スリランカなどから信者が参加し、菩提樹の下で各国寺院の比丘や僧侶が読経し、法要が執り行われました。

 映画『The Siddhartha Gautama』に出演した俳優ガガンマリック氏(Gagan Malik)も施主の一人として法要に参加し、比丘や僧侶たちに衣を布施する様子が動画に収められています。

チベット難民市場オープン

(https://public.app/video/sp_b05z2uye9hqfoより転載)

 チベット難民市場が今年もオープンしました。ブッダガヤ巡礼のシーズン、10月から3月頃までの冬の間だけ開かれる市場で、有名なチベットの絨毯や冬物衣料、またチベットの手工芸品などのお土産を扱う店が約50店舗ほど立ち並びます。今期のオープン初日10月25日には、チベット仏教僧院のラマ僧によるコロナ退散のお祓いのあと、テープカットが行われました。
(上記写真をクリックすると動画を御覧いただけます。)

ドゥルガプジャ

 2021年10月11日から15日までヒンドゥー教のドゥルガ(Durga)女神をお祝いするドゥルガプジャが行われています。この時期には官庁も休み。雇用主は雇い人を帰省させます。

 お祭りとしては現在では主にベンガル地方で盛大に行われ、もともと天然痘調伏のために南インドから招来された神様ですが、あらゆる伝染病や悪疫退散に霊験があるとされ、やがて全国的に信仰されるようになって現代に至っています。

 ヒンドゥー教では全能神シバ神の妻。シヴァより強いことから特に女性たちに人気があり、この祭りに際して夫は妻にサリーなどの晴れ着や装飾品を贈るべきとする習慣が根づいています。

 各所に豪華な装飾が施されたお祝いの会場(pandal)が設けられ、ドゥルガの像が祀られます。また、会場には屋台が立ち並び日本のお祭りさながらの賑わいを見せます。今年は2年ぶりの開催となり、ブッダガヤに設けられた会場も大賑わいでした。

ドゥルガが悪魔を退治する神話の一場面

ピトルパクシャ

 ピトルパクシャ(pitru paksha)はヒンドゥー教の祭儀聖典(マッチャプラーナ)に記された祖霊(ピトゥル)供養を表す期間で、ガヤを最高の聖地とし、3つの月を指定していますが、先祖の解脱到彼岸を祈るには太陽暦10月アシュヴィン月)頃がふさわしいとされています。ガヤ地区でのピトルパクシャは米の収穫後の秋に行われることから特に盛んで、今年は2021年9月20日から10月6日がガヤ・ピトルパクシャです。

 人々はこの期間に先祖への供餐であるピンダ・ダーン(pind daan)を行うため巡礼し水と灯明と供物と祈りを捧げます。聖典では、「ピンダ・ダーン」を行うことは子孫にとって必須の儀式と記されています。

 ガヤにはヴィシュヌ神の神変の地で十あるヴィシュヌパド寺院があり、最も神聖な聖地でもあるところから、毎年数十万人がガヤ訪れ、最南端の祭儀地(ヴィーディ)であるブッダガヤまで尼蓮禅河沿いに51ヶ所ある祭儀地の河の流れで沐浴し、岸辺で祈りを捧げます。

 例年ヴィシュヌパド寺院とその周辺にある聖典指定の関連聖地ではこの期間に先祖の霊の彼岸到達を祈る儀式が行われますが、今年は昨年に引き続き新型コロナウイルス感染拡大により公式には中止されました。しかし、少人数であること、予防接種の証明書の携帯等のガイドラインを遵守のもとで祭儀巡礼を受け入れることが許可され、インド各地から巡礼団が訪れています。 

指定祭儀地のある大菩提寺に連日訪れる大勢の巡礼者

日本寺では参拝者にマスク着用要請を掲示し、門を入る無着用の参拝者にはその都度事に門番が着用を求めていますが、徹底されないのが悩みです。

ヴィシュワカルマプジャ

2021年9月17日は、ヒンドゥー教の行事であるヴィシュワカルマ(Vishwakarma)プジャの日でした。ヴィシュワカルマ・ジャヤンティ( ヴィシュワカルマ 祭)とも呼ばれ、インド全土でお祝いされます。 

 ヴィシュワカルマは世界の創造主であり、神々の住居や悪と戦うための武器や乗り物を作ったとされています。また、インドの古代聖典『リグヴェーダ』には「大工」と言及されています。現在では、物づくりや機械の神様とされ工場で祀られています。

 この日に職人や工場で働く人々は、普段使用している機械や道具がスムースに機能することや生活を安全に保つことができるよう祈願(プジャ)し、それらの道具を使用することを控えます。

 日本寺では車とジェネレーター、工具を休ませ、境内で育てた花と甘いお菓子をお供えし祈りを捧げました。

インド日本寺の車

ヴィシュワカルマの絵

4本の腕を持ち、白い髭を生やした年配の姿で描かれます。周りを囲むのは5人の息子、玉座の後背にはさまざまな工具が並べられています。
(左記画像 https://www.smitcreation.com/より)

モディ首相がTwitterで「ビシュワカルマの恩寵を国民が受け、国が進歩と繁栄の新たな高みを達成し続けることを願っています。」とメッセージを出しました。