3年ぶりに盛大なブッダジャヤンティ

 ブッダジャヤンティ(Buddha Jayanti)はお釈迦様の誕生、成道、涅槃を一度にお祝いする行事で、毎年インド暦のウェーサカ(Vaisakha)月の満月の日に行われます。また、この日はブッダプルニマ(Buddha Purnima)と呼ばれ、国民の祝日に指定されています。

 南方仏暦に因んで2566回目となった今年のブッダジャヤンティは、2022年5月16日に大菩提寺で盛大にお祝いされました。2020年、2021年はコロナ禍のため、大菩提寺が閉鎖され、大塔管理委員会所属の比丘衆のみで開催されましたが、今年は3年ぶりにブッダガヤにある各国寺院や、インド諸州各地からの比丘・僧侶ら約7000人がこの催事に参集しました。日本寺からは元駐在僧の番地章夫師がこの日の為に渡印しました。この時期のブッダガヤは一年で最も暑く、当日は44℃の猛暑の中での法要でした。

 朝、8時を期して大仏(Great Buddha)前をスタート、大菩提寺まで約2㎞をお練り行道して大菩提寺入り。お釈迦様ご成道の聖菩提樹下での比丘による法話や、チベット、タイ、ベトナムなど各国のお経があげられ、日本代表として番地師が般若心経を唱えました。また、ビハール州知事も参列し、献香・献灯をされました。

大菩提寺 Maghi Purnima(マーガ満月会)

 仏暦でMagha(マーガ)月にあたるこの、2022年2月16日、大菩提寺ではMaghi Purnima (マーガ満月会)が行われました。
 この日はパーリー語仏伝もサンスクリット語仏伝も、お釈迦さまご在世中のたくさんの事蹟が、マーガ月の満月の日の出来事と記される特別な日です。

 大菩提寺では、このMaghi Purnimaをヴァイサク月(Vaisakha)の満月の日に祝うBuddha Jayantiに次いで、厳粛かつ華やかに祝い祀り、かつ祈ります。
 敷地内や周辺は数千のランプで飾り立てられ、出家したばかりの若い比丘たちは、それぞれの手にろうそくを灯して捧げ持ち讃仏偈を唱えながら大塔を右繞し、この日を祝いました。
 また大菩提寺のご本尊であるお釈迦様へ金の塗り替えもこの日に行われました。

その模様を大塔管理委員会のYoutubeチャンネルでご覧になれます。

大菩提寺再開

 ビハール州内の宗教施設の再開の布告を受け、2月7日に大菩提寺は再開しました。
 再開初日の日課勤行や、参拝者の様子が大塔管理委員会(bodhgaya temple management committee)のYouTubeチャンネル公開されています。大菩提寺では、所属僧侶が毎朝キール(kheer)と呼ばれる乳粥をご本尊にお供えし勤行しています。

マドバニ画風仏伝壁画

 ブッダガヤのチベット寺院の外壁にマドバニ画風の仏伝が描かれました。
 マドバニ画はビハール州北部ミティーラ地方で3000年にわたって女性の間で代々受け継がれてきた壁画です。ヒンドゥーの神々や神話を主題とし、賓客を迎えるのため荘厳として家の外壁に描かれていました。現代では主に紙に書かれるようになり、男性の描き手も多くなりました。鮮やかな色使いと大胆な描写が特徴で、インドの民族芸術のひとつとして世界でも評価を得ています。

大塔大菩提寺 カティナプジャ

 カティナプジャ(Katina puja) は、約3か月間の雨安居明けに行われ、信者が比丘たちに法衣を布施し、徳を積む法要です。原始仏典の伝えるところでは、雨安居明けに比丘たちが自身の衣を作り…とあり、お釈迦様もご自身でそうされたとあります。ほぼ全員が衣を調え終ると集まって布薩会(ふさつえ=各々の内外で犯した比丘としてあるまじき罪を告白・懺悔する集会)を行って出家者としての再出発を誓うという習慣でした。仏伝に「衣を調える1ヶ月・2ヶ月…5ヶ月」とありますが、その期間を短縮し、早く法を説いて欲しい信徒や施主が衣を献上するようになりました。この一連のプロセスが「迦絺那会(かちなえ)」として中国や日本に伝わりました。ブッダガヤのカティナプジャはこの方式で行われています。

 この雨安居とは、Vassaとよばれる雨季の間、降雨によって芽吹いた草や土から出てきた虫などを踏み殺生しないように、比丘たちが遊行せずに一か所に留まり外出を控え修行に専念することで、お釈迦様在世からの習慣です。インドでは、ヒンドゥー暦のAsalha 月の満月の次の日から約3か月(3度目の満月の翌日)がVassaとされ、2021年は7月25日から10月21日まででした。

 今年は10月31日に大塔管理委員会主催の施主公募によるカティナプジャが大菩提寺内で開催されました。当日はタイ、カンボジア、スリランカなどから信者が参加し、菩提樹の下で各国寺院の比丘や僧侶が読経し、法要が執り行われました。

 映画『The Siddhartha Gautama』に出演した俳優ガガンマリック氏(Gagan Malik)も施主の一人として法要に参加し、比丘や僧侶たちに衣を布施する様子が動画に収められています。